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住まいを直すとき、生きたお金のかけ方を意識

ライフスタイルによって変化する住まい。購入時は資産価値を意識した住まいづくりが重要です。さらに、リフォーム時においては、老後の住まいも意識し、バリアフリーに備えた素材選びも考えておくと良いでしょう。ここでは、そのポイントについて紹介します。

■購入時から生活の変化を見据え、資産価値を考えておく
マイホームは一生のうち最も大きな買い物です。購入時に売却を意識しながら住まいを選ぶ方はそう多くありません。しかし、転勤や転職で仕事場が変わったり、子どもが増えたり、介護などで実家の両親と同居することになったりと、長い目で見るとライフスタイルは変化していくものです。

その際、購入を計画しているマイホームを売却して、新しい生活をスタートさせる可能性もないとは限りません。住まいの資産価値は高ければ高いほど、良い条件で売却ができるようになります。

今後訪れるかもしれないライフスタイルの変化に柔軟に対応するためにも、購入の段階から資産価値の高いものを選び、上手にメンテナンスしていくことを、あらかじめ意識しておきましょう。


■一戸建ての資産価値とマンションの資産価値の違い
いままで、一戸建て住宅は築20年で資産価値はゼロ円とみなされてきました。今後、政府が普及を推進している住宅性能の高い【長期優良住宅※1】の価値が市場で認められるようになれば、性能が高く寿命の長い住宅の資産価値は大きく見直されます。

また、住宅は築年数だけで判断されるものではなく、管理状態をはじめとする【付加価値】によっても価格が変わります。例えば、すべて自己管理となる一戸建ての資産価値を維持するには、最初からメンテナンスの手間がかからない建築部材(屋根なら瓦、外壁ならタイルなど)を選ぶことも大切です。

※1 長期優良住宅

長期にわたり良好な状態で使用するために一定の基準を満たした住宅のこと。一般的な住宅より1割~2割ほど高価になるものの、住宅ローン金利優遇や減税措置が充実しています。


■一戸建てのメンテナンスは、部分ごとにチェック
どんなに大切に住んでいても、外壁や屋根は傷み設備は劣化していきます。外部にわずかなヒビが入っても、そこから雨水が浸透してしまうと、住宅内部が腐食してしまいます。住宅の性能を維持するためにも、定期的なメンテナンスを行いましょう。

戸建住宅は、マンションと違い家主が管理する必要があります。日頃から家の状態をチェックしておき、補修が必要な部分は早めに補修しておきましょう。これが、住宅の資産価値を末長く維持する『生きたお金のかけ方』なのです。

ありがちなことですが、『あとでまとめて』と考えていると、1回の補修費用の負担が大きくなってしまいます。メンテナンスは床や壁の汚れ落としといった、自分でできることだけではなく、専門家でないと直せない基礎や柱など住宅の骨格部分のメンテナンスもあります。専門家でないと直せない部分は、その家を施工した住宅会社をはじめ、リフォームやメンテナンスを請負う近くの工務店に相談してみましょう。


【住宅部分ごとのメンテナンスポイント】


◆基礎・土台・柱・梁は専門家に修繕を依頼
◇シロアリ被害:防蟻処理された資材を使い、発生したら早めに専門家に依頼
シロアリは、木材だけではなくケーブルやコンクリートまで食べてしまいます。そのため基礎や土台、柱や梁が空洞化し、住宅の傾きや変形、最悪の場合は倒壊してしまいます。

◇腐食:防腐処理された資材を使い、水廻りの漏れを点検。腐食を発見したら専門家に依頼
腐食とは、木材や金属材が腐ることです。腐食によって建物の強度が低下し、見過ごしたままだと大きな被害を招きます。予防策は、湿気を入れない、ならびに湿気を除去すること。見えない部分の雨漏り、水漏れにも注意しましょう。

◆屋根・外壁は専門家による点検を
◇屋根の傷み:屋根の表面が傷んでいたら施工会社に相談
屋根に割れやズレが起こると、そこから雨水などが浸入し、梁や屋根基礎部の腐食が進んでしまいます。しかし、屋根に登って掃除したり点検すると、屋根から転落する危険があります。瓦屋根の場合、瓦を踏んで割ってしまう可能性もあるので、点検は専門家に任せましょう。

◇外壁の傷み:築10年毎を目安に、施工会社に相談して外壁を塗り直し。
外壁材はあらかじめ防水、断熱、防音などの処理がなされています。しかし年数とともに塗装がはがれたり、ヒビが入ります。シーリング材(外壁の目地に詰めてある詰め物)が劣化してくると、外壁から雨水が浸入してしまいます。

◆天井・内壁・床:日頃のお手入れは欠かさずに
◇ビニールクロス:固く絞った布で水拭き。
◇塗り壁:ハタキなどでホコリを落としましょう。水や洗剤使用は避けましょう。
◇板張り:直射日光は避け、やわらかい布か化学雑巾でから拭き。
◇白木:白木用ワックスをかけておき、普段はから拭き。
◇フローリング床:ワックスは半年に1度、ニスは3年に1度を目安に塗り替えましょう。
◇カーペット:年に2回は市販のカーペットクリーナーでクリーニングを。
ものをこぼしたときはすぐに拭き取りシミを残さないようにしましょう。


■大規模なリフォーム・メンテナンスのとき、将来のバリアフリーに備えた下準備を

現在のお住まいを『終の棲家』として考えはじめると、自分たちが年老いたときのことを考えて『バリアフリーリフォーム』と称して家の中のあちこちに手すりをつけてみたり、浴室リフト・階段昇降機など様々な設備を取り付ける方もいらっしゃいます。でも、それらの設備は今、本当に役立つでしょうか。バリアフリーリフォームの基本は、その家に住む家族全員が暮らしやすくすること。

ここでは、将来的に必要ない方に、こんな準備をしておくと良いポイントを紹介します。

これも、高齢になっても元気に自宅で過ごせることで、医療や介護に多額のお金をかけないで済ませる『生きたお金のかけ方』のひとつです。

◆段差解消のバリアフリーリフォーム
ドアの敷居の1cm程度の小さな段差は、車椅子の通行にじゃまになるほか段差を見過ごすことが多いので、小さな子供や妊娠中の女性、高齢者にとっても非常に危険な段差です。
フローリングを張り替えるときや室内建具を変えるとき、ついでに段差も直してしまいましょう。

◆手すりをつける可能性があるところは、あらかじめ補強
クロスの張り替えリフォームのついでに、手すりを取り付ける可能性がある壁面を補強しておきましょう。

◆《とりあえず手すり》は、のちに問題が起きるかも
将来のために、とりあえず手すりを取り付けるリフォームを検討する方がいらっしゃいますが、とりあえず手すりを付けてしまうと、のちに問題が起きることがあります。
たとえば、今が右利きだからといっても右半身が麻痺すると右手で手すりを握ることが難しくなります。つまり、手すりの取り付け位置は、その時の身体の状態によって高さと向きが変わります。廊下の両側に手すりを取り付けたものの、車椅子で移動すると狭くて通りにくくなってしまうという場合もあります。

◆すべりにくいフローリング
家庭内事故で多いのが転倒。高齢者の場合、骨折してそのまま寝たきりになってしまうことがあります。滑り止め加工がなされていないフローリング材の場合、ワックスでお手入れしたとたんに滑りやすくなることもあります。張り替えでフローリング材を選ぶとき、滑りにくく柔らかいコルクフローリングがおすすめです。

◆室内ドアは引き戸にして開口幅は広く
長年使い込んだ室内ドアは、内装リフォームのついでに引き戸にリフォームしましょう。引き戸は開閉がしやすいだけでなく、風に煽られて閉まることがないので、手を挟んだりすることが少なくなります。車椅子では開き戸が使いにくくなることから、広めの開口幅をもつ引き戸がおすすめです。

◆水栓金物や扉の取っ手はレバー式がおすすめ
水栓金物を長年使い込むと漏水などの不具合が出てきます。水栓金物を交換するときは、片手で簡単に出し止めできるレバー式にすると、家族全員が便利で暮らしやすくなります。
ドアの取っ手は、握り玉だと握力が弱くなると開けにくくなったり、小さな子供も掴みにくいので、レバーハンドルに交換しておきましょう。

◆トイレは寝室のそばに
高齢になるとトイレが近くなります。間取り変更を伴うリフォームを計画するとき、トイレの間取りは寝室のそばにしましょう。足元を照らす小さな常夜灯を準備しておけば、夜間も安心です。

◆浴室のバリアフリーリフォームは、脱衣所と浴室の断熱強化が最優先
最も大切なことは、居室との温度差をできるだけ少なくすること。浴室でヒートショック※2が原因でお亡くなりになった方は、交通事故による死亡者数の約3.7倍にも上り、日本は入浴中の急死者数が諸外国に比べ高いとされています。
※2 ヒートショック 急激な温度変化により身体がうける影響

◆トイレにはひじ掛けを
足腰が弱ってくると、手をついて身体を支えながら立ち上がるようになります。手すりがないトイレだと、紙巻器やタオル掛けに体重がかかり、そのまま転倒してしまいます。ひじ掛け型の手すりがあれば、握力が弱っても腕全体で体重を支えることができます。

◆トイレ内のスペースは広めに
ドアを開けてトイレの中に入り、身体の向きを変えて便座に座る。普段は無意識の動作でも、足腰が弱ってくると、これらの動作もたいへんになります。トイレを使うときにこの2つの動作をしやすくするには、立ち位置を変えずにドアの開閉ができる引き戸を選び、身体の向きを変える便器前のスペースに余裕を持たせることが大切です。

ネクスト・アイズ株式会社 小野代表
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